歯周病治療

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歯周病とは

歯周病とは

歯周病は、歯の周辺組織が細菌に感染し炎症を起こす病気です。
歯磨きの際に血が出るなどの初期症状はありますが、強い痛みが発生しないので、自分では気づかないことが多いのも特徴です。進行すると歯肉だけでなく歯を支える歯槽骨にまで炎症が広がり、骨が溶けて歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。
歯周病を引き起こす細菌は、歯と歯肉の間の歯垢で繁殖します。毎食後の歯磨きで食べカスを清掃し、歯垢を溜めないことが重要です。
また歯磨きだけで完全に歯垢を除去するのは難しいので、3~6ヵ月に1度は、歯科医院でメンテナンスするとよいでしょう。
専門的な器具で歯垢や歯石を除去し、歯の表面をツルツルに磨くと、新たな汚れが付きにくくなるので、予防効果が高まります。

歯周病の原因

歯周病の原因

歯周病は細菌が引き起こす感染症です。
細菌はネバネバとしたバイオフィルムという膜を形成するので、より落としにくくなるという悪循環に陥ります。バイオフィルムは、排水口のヌメリを想像するとわかりやすいと思います。
歯周病を予防するためには、口内に歯垢を残さないよう、毎日の歯磨きをしっかり行なうことが大切です。
しかし丁寧に歯磨きをしても噛み合わせが悪かったり、被せ物が劣化して隙間ができていたりすると歯垢が残りやすく、歯周病のリスクがあります。
他にも体の抵抗力を落とすような食生活や慢性的なストレス、睡眠・運動不足、喫煙などは、炎症を起こしやすく悪化させやすい状況なので、注意しましょう。

歯周病の症状

歯周病は自覚症状が出にくい病気です。悪化する前に早めに対処できるよう、症状をチェックしましょう。

歯周病の症状
  • 歯磨きすると血が出る
  • 歯肉が赤っぽく腫れている
  • 歯が以前より長く見える
  • 冷たい飲み物がしみる
  • 噛むときに痛みを感じる
  • 口臭がする

歯周病と全身疾患の関係

歯周病と全身疾患の関係

歯周病菌は歯肉に入り込むと、血液の流れに乗って全身に運ばれ、その影響が体全体に関係することがわかっています。
動脈硬化は食事やストレスなどが主因の生活習慣病ですが、歯周病菌が血管を刺激することで血栓が作られ、血管を詰まらせる原因の一つとなっています。
妊娠中はホルモンバランスの関係で歯周病になりやすいものです。妊娠中の歯周病は、低体重時出産の危険率が7倍にもなるといわれているので、注意が必要です。
他にも誤嚥性肺炎や認知症、糖尿病、脳卒中など、さまざまな病気が歯周病と関わっています。
口の健康を保つことが全身疾患の予防にもつながると考えて、歯周病予防に努めていただければと思います。

歯周病の進行

  1. 健康な状態

    健康な状態

    健康な歯肉は、薄いピンク色で引き締まっています。
    歯と歯の間ではしっかりと角のある形状をしています。歯肉炎になると角が丸くブヨブヨとたるんだ質感になります。
    歯磨きやデンタルフロスの使用で、出血することはありません。

  2. 歯肉炎

    歯肉炎

    歯周病の初期段階は、歯肉炎といいます。
    歯肉の炎症が始まり赤くなってきて、歯を磨くと出血することがあります。
    歯周ポケットの深さは、3~4mmほどです。
    歯槽骨にはまだ影響していないので、適切な歯磨きで健康な状態に回復できます。

  3. 歯周炎(軽度)

    歯周炎(軽度)

    歯肉から歯槽骨へ炎症が進行します。
    歯周ポケットが4~5mmに広がり、より歯垢が溜まりやすくなるので、そのままにしておくと炎症は悪化します。
    この段階になっても自覚症状はほとんど出ませんが、歯槽骨も溶け始めるので、歯科医院での治療が必要です。

  4. 歯周炎(中等度)

    歯周炎(中等度)

    炎症が拡大して、歯槽骨は半分ほど溶けて、歯がぐらつき始めます。
    歯周ポケットの深さは5~7mmになり、歯肉の炎症から膿が出たり口臭が発生したりします。
    冷たい飲み物でしみる、食べ物を噛むと痛い、といった自覚症状が出ます。
    歯を残すために、早急に歯科医院で治療を受ける必要があります。

  5. 歯周炎(重度)

    歯周炎(重度)

    歯槽骨が半分以上溶かされ、歯は大きくぐらつきます。
    膿が出て、強い口臭が発生します。
    このまま放置すれば歯は抜け落ちてしまいます。
    ダメージを受けた歯周組織や歯槽骨を回復させるためには、外科手術で治療します。

歯周病の治療

スケーリング

スケーリング

歯周病を引き起こす細菌は歯垢や歯石の中で増殖するので、まずは歯周ポケットや歯の表面を清掃するのが、基本的な歯周病治療です。
毎日の歯磨きで完全に取り除くことが難しい歯垢は、歯石となって歯にこびりつきます。歯科医院では、スケーラーという鉤爪のような形状の専用器具で歯石を除去します。この処置をスケーリングといいます。
歯石の表面はでこぼこしているため、歯垢がつきやすいというリスクがあります。スケーリングで歯石を取って歯の表面をツルツルにしておくと、汚れが溜まりにくくなるので、定期的に行なって歯周病を予防しましょう。

GTR

GTR

重度の歯周病になると、歯を支える歯槽骨が溶けて歯を失う危険性があります。
GTR(歯周組織再生誘導法)は、部分的に溶けた歯槽骨を回復させる治療法です。
治療には外科手術をともないます。麻酔をして患部の歯肉を切開し、こびり付いた歯垢や歯石を徹底的に除去します。
清掃された歯槽骨と歯周組織は治癒していきますが、骨よりも歯肉の再生の方が早く、そのままでは歯槽骨があるべき部分に歯肉が入り込んできてしまいます。
GTRでは骨の再生スペースを確保するために、メンブレンという人工膜でカバーします。歯周組織は人工膜の下で1ヵ月に1mmずつ再生されます。
メンブレンは人体に吸収される膜なので、治療後に摘出する必要はありません。

エムドゲイン(歯周組織再生誘導材料)

エムドゲイン(歯周組織再生誘導材料)

エムドゲイン法は、スウェーデンで開発された歯周組織再生誘導材料「エムドゲインゲル」を使用する、歯周組織再生療法の一つです。
エムドゲインゲルは、歯の萌出過程で重要な働きをするンパク質を主成分としており、ブタの歯胚から抽出精製しています。
治療には外科手術が必要です。麻酔をして治療する部位の歯肉を切開し、歯根を露出させて表面の歯垢や歯石を除去します。歯根がきれいになったら、再生させる部分にエムドゲインゲルを塗り、歯が生えてくる時と同じような環境を作り出して再生を促します。
歯肉は縫合して、2週間ほどで抜糸します。
GTRよりも効果が現れるのが早く、手術後6週間ほどで歯槽骨が再生してきます。